ピエモンテ美景観


ピエモンテ屈指の葡萄畑、壮大な景観、美しい眺望を持つ、ランゲ、ロエロ、ニッツァモンフェラート地方。

その貴重な文化財を守ろうという活動が年々強まり、2006年に世界遺産への申請を行い・・・

去年秋ごろから、今年の一月に認定されるかもしれないという話題が持ち切りですが、受理待ち状態のピエモンテ南部地域です。

ワイン生産地の美観地区とし世界遺産に登録されている地域は、

・世界三大貴腐ワインの1つを生み出す、ハンガリーのトカイ・ワイン地区。

・フランス南西部、ボルドーワインで有名なサン=テミリオン地区。

・ドイツ中部ライン渓谷地域

・ポルトガル、アルト・ドロウワイン地区及びピコ島の葡萄畑

・スイス、レマン湖北岸のラヴォ―地区

もし認定が確定となれば、イタリアの葡萄畑で初の快挙になりますし、私も更にこの地方を皆さんにお伝えする事に鋭意を努めることになるでしょう。

ピエモンテより6月の葡萄畑



先日、ピエモンテワイナリーの視察のため、インポーターさんの来訪あり。

ワイン街道と呼ばれている、バローロ脇の県道を通り北上し、目的地のアスティ県、ニッツァ・モンフェラートへ。

(上記写真)バローロ村と、イタリア黒葡萄代表品種、バローロやバルバレスコを造り出すネッビオーロ種。

今春例年より降雨量が多く、葡萄の生育、病害の危険等、この時季の気象が悪ければ、収量や品質に大打撃なので、栽培者は冷や汗をかいていたようですが6月は天候も良く順調に育っているとのこと!!!

ニッツァ・モンフェッラートからは、ドルチェット種、バルベーラ種、モスカート種の畑を。


(上記写真)ドルチェット種。「ちょっぴり甘い」というネーミングで響きのよい黒葡萄。

勿論辛口ですが比較的酸が少なく早飲みタイプで、南ピエモンテ人のディリーワイン
とし愛飲されている品種。

此処、モンフェッラート地区を中心にアレッサンドリア県(ピエモンテ州)、クネオ県(ピエモンテ州)と広範囲に渡り栽培されており、リグーリア州の西リビエラ地方では、オルメアスコ種という名で栽培されています。

ネッビオーロ種と比べても分かるように、葉っぱは丸みを帯びているのが見分け方の特徴だそうです。


(上記写真)バルベーラ種。
他の品種に比べ蔓が柔らかくて厄介ものなのだそうです。

新梢が密集すると、風通しや日当たりも悪くなるので余分な葉を取り除いたり、垣根に絡ませたり、ワイヤーに結束したりする作業をこの時季に繰り返しているのとのこと。

特にこのバルベーラ種には難儀しているみたいでした。

6月下旬に実止まりをよくするため、新梢の先端を切り伸びを止める作業が一斉に行われます。

8月、一つの幹から良質な5つの房を選び、その他の房は全て切り取り、実の調整をするのだそうです。

案内してくださった生産者さんは、バルバレスコ村で有名なガイア社のワイナリーで9年間勤務後、実家が経営する葡萄農家の後継者に。

全部で7ヘクタール所有とのことで、化学肥料や殺虫剤を使用しない自然農法で整備された畑は手間と根気がいるお仕事です。


(上記写真)モスカート種。イタリア全土で栽培されているマスカット。

アスティ県で生産されるものは、発泡性ワインのアスティ・スプマンテもしくは、独特のアロマを活かすため、アルコール発酵を抑えた弱発泡性のモスカート・ダスティが造られていて、飲みやすいモスカート・ダスティは、私の周りでも大好評です。


途中で立ち寄った、生産者さん宅の畑のサクランボの木。

本当の豊かさや美しさとは何かを教えてくれるイタリア暮らし。

自然と寄り添う暮らし・・・自然とイタリアはこれからもずっとずっと共存し続けてほしいと思う今日このごろです。

渓流釣り


渓流釣りも解禁になり、週末の夕方釣りに出かける時もあります。

イタリアでの渓流釣り許可書(LICENZA DI PESCA)は、約23ユーロ(1年間)を住民権のある州の自治体に申請します。

許可書を発行してもらうと、それと一緒に県内の渓流マップも渡され、そこには有料、無料、禁止地域が色分けされています。

家のすぐ傍の渓流(写真上)は、幅もあり釣りやすいのですが、上流で毎年マスの稚魚を放流するので、1日20ユーロ、さらに上流は60ユーロのチケットを購入しなければいけません。

ということで、いつもは川幅の狭い無料の清流で楽しんでます。


疑似餌に使うのは「スプーン」。

いつもはゲームフィッシングとして楽しむので直ぐに離しますが、この日はちょっと大きめのが釣れたのでお持ち帰りに!

天然もののマスは、表面にオレンジの斑点があるのが特徴だそうです。

香味野菜で軽く蒸して、ケッパー入り焦がしバターで。


ピエモンテの魚、ピエモンテのバター、地産地消でピエモンテ白ワイン、アルネイス種にしようかと思いましたが・・・・・。

リグーリア州の東リビエラのティグリオ湾近郊で栽培されている、ビアンケッタ・ジェノヴェーゼ種を使った白を!

ミネラルが凝縮された酸味の爽やかなスッキリタイプで今回はBISSON社のものを。

美術の教師でもあり、過去イタリアソムリエコンクール準優勝という経歴も持ってらっしゃるBISSONのオーナー・ピエールルイジ氏。

彼は農民達が造るリグーリアワインの潜在性を直観し、東リヴィエラに根付く葡萄の可能性を引き出す冒険をし始めました。

当初は農夫が造る葡萄を少量づつ購入し醸造を試み、考究の末、近代技術を取り入れ、リグーリアの土着品種を品質向上させ、BISSONの名を轟かせるようになりました。

ピエール氏は、地中海沖に沈んだ数々の沈没船の中から発見されたワインのその良質保存状態に着目し、2009年5月22日、”LO SPUMANTE DEGLI ABISSI”と名付け、瓶詰めしたスプマンテをケージの中に入れ、ポルトフィーノ沖の海底に沈めており、現調査段階の醸造法とし、専門家や世界のメディアが注目しています。(2010年末引き上げ予定)


アルプスの野花達が咲き誇っていて、心地よい今日この頃です。

ミステリー聖遺物@トリノ

トリノの大聖堂には、処刑後のイエス・キリストの遺体を包んだといわれている聖骸布があり、キリスト教の中で最も神聖視されているものの一つとされ、今でも多くの謎に包まれたままのとてもミステリアスな聖遺物が、10年ぶりに一般公開されました。

定期的にイタリアにいる私の元へ訪れてくれる友人の愛読書でもあった、坂東 真砂子さん著の「聖アントニオの舌」を何年か前に頂き、その中でも「魔都トリノ~トリノの聖骸布~」に触れられていたので、拝観してみたいと思っていたのです。

4.36mX1.1mのこの布についての真相は、科学者間で立証するのは困難を極めており、論争が絶えない遺物。

本物にせよ、偽物だと言われようと、キリスト教巡礼者の方から崇拝されているものには変わりない貴重な遺産の1つにお目にかかれ光栄でした。

聖骸布が公開された、サン・ジョヴァンニ・バッティスタ大聖堂から西へ数百メートル歩いたところに、ローマ法王から名誉を与えられたコンソラータ大聖堂があります。

ある盲目の聖人がこの教会内でキリストの幻を見、この大聖堂のシンボルも発見したという逸話が受け継がれている信仰深い教会。

バロック様式主体で、様々な祭壇や聖画を拝観する事の出来る見応えのある大聖堂です。

トリノに行かれた方は是非この大聖堂も参拝してみてください。

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バローロ・ボーイズ

バローロ・ボーイズ・・・・
タンニンの強いバローロワインを、革新的に変えていき、モダンバローロを生産し始めた造り手たち。


先日、大阪の友人がはるばる訪ねてきてくださり、アカデミックにワインを研究している彼女とのワイン談義は尽きる事がありませんでした。

彼女からのリクエストもあり、今回はバローロ村近郊のラッモッラ・アンヌンツィアータにあるこの改革に取り組み始めた第一人者、ELIO ALTARE(エリオ・アルターレ)氏のワイナリー視察へ。

代々受け継がれてきた伝統的な醸造技術を改新するため、父親との大葛藤の末、見事に結果を出した素晴らしい彼のワインの数々。


バローロを造るための土着品種ネッビオーロ種の昔の大樽醸造は、酸化や劣化を招きやすかったため、飲みにくいワインとされていたところ、果汁と皮のコンタクトの時間を減らし、熟成は225Lのフランス産オークバリック樽での熟成にしたことにより、渋みが口に残らないまろやかで果実味溢れる気品あるワインとし、世界各国で持て囃されるようになりました。

この小樽、購入額一樽700ユーロ。
2,3年に一度は買い替えないといけないそうです。


ガラス越しからの景観・・・
どのワイナリーを訪問しても、自慢の畑をちゃんと見渡せる設計にしてあるんですよね!

この眺望はELIO氏を師匠と仰ぎ隣接するワイナリー MAURO VEGLIO(マウロ・ヴェリオ)氏のところへお邪魔して・・。

此方のワインも素晴らしく、同じ土壌、日当たりで栽培された葡萄でも、果皮を醸す期間や樽熟成される微妙な違いで、ここまで味が変わるなんて・・・料理と一緒で奥が深いですよね。


ランゲ地方の何処までも波のように緩やかに続く丘陵地帯の景観をみなさんにも。

カッフェ アル ビチェリン

肌寒い季節になりましたが、そんな時は温かくて美味しいコーヒーが飲みたくなるものです。
トリノに行ったら必ず飲む、定番の飲み物。
それがこの「ビチェリン」。


ほろ苦いエスプレッソコーヒーに、ホットチョコレートを加え、最後にカップチーノに使用されるふわふわのミルクの泡を注いだ 「ビチェリン」は混ぜずに飲むのが基本。

エスプレッソとチョコレートがいい具合に調和しています。

さてこのビチェリン、BICCHIERE(ビッキエーレ=コップ)とゆうピエモンテ方言で昔からこうゆうスタイルで愛飲されていたのだとか。
ビチェリンとゆうこの可愛らしい響きが私は好き。

(余談ですが・・・リグーリア方言で、「チャニン チャニン」 とゆう言葉を良く耳にしますが、これはイタリア語でPIANO PIANO即ち、ゆっくりゆっくりという意味ですが、この響きもとっても聞き心地が良く私の好きな方言の1つでもあります)


1973年創業の由緒ある「元祖ビチェリンのお店」とし、「ヨーロッパのカフェ文化に貢献したお店」とし讃えられました。今でもその雰囲気、哀愁漂っていますよね~。

ホットチョコレートは固形チョコが登場する以前、16世紀より飲まれていて、当時はチョコレートとは、食べるものではなく、飲むものだったというのも、チョコ歴史上面白いですよね。



トリノの中心街・・・何故かしら冬に訪れたくなる街の1つです。
そしてこうゆう風に懐古的にシャッターを思わずきってしまいたくなります。



DEGUSTAZIONE ~試飲会~

2008年10月の週末・・・・バルバレスコは賑やかです。

「BARBARESCO WEEK-END」と題し、毎週30ものバルバレスコ近辺のワイナリーのワインを試飲できるイベントが開催されています。

私が仕事の合間に訪れることができた、10月最後の日曜日。

全てのワインが2005年もの

その中でも私好みの美味しいワインは・・・。

      勉強MOCCAGATTA          Bric Balin

      勉強MARCHESI DI GRESY    Camp Gros

      勉強CERETTO              Bernardot

      勉強CECILIA MONTE        Serracapelli

      勉強CIGLIUTI               Serraboella

      勉強BOFFA CARLO         Vitalotti

      勉強CASTELLO DI NEIVE    Santo Stefano

      勉強FONTANA BIANCA       Sori Burdin 

BARBARESCO

バルバレスコは人口638人、二つの分離集落地区から成り立つ、とてもひっそりとして落ち着いた雰囲気を漂わせています。ローマ帝国時代、ドイツから異民族(BARBARI=異民族)が定住したのがこの村で、名前の由来はそこから付いたそうです。右の塔はローマ帝国崩壊後以後、要塞として建設され、現在はバルバレスコのシンボルなっています。


塔の後ろ側に回ると、その高台からはタナロ川、耕作地帯が広がっています。


このタナロ川を挟み、写真左側がランゲ地区、右側はロエロ地区と称されており、奥の丘陵地帯は葡萄畑ではなく、この近辺特産の、TONDA GENTILEとゆうヘーゼルナッツの木が生い茂っています。
フランスで生まれたミシュラン星付きガイドイタリア版ではこのタナロ川一帯にあるレストランが次々と星を獲得し始め、瞬く間に美食家たちの注目の的となりました。


PRODOTTORI DEL BARBARESCOは、アルバ国立醸造学校の創立者でもある、ドミニオ・カヴァッツァが1894年に設立しましたが、ファシズムの影響を受けて閉鎖してしまいました。醸造家たちの情熱的な再興への思いが、1958年組合を復活させ、現在はこのイタリアでも評価の高いPRODOTTORI DEL BARBARESCOに引き継がれました。
バルバレスコのCRU(最良の畑)が200ヘクタールにたいし、この組合は100ヘクタールをも所有しています。

TERROIR ~複合的地域性~

アルバからバルバレスコに向かう途中、辺り一面、葡萄畑に囲まれここ一帯が、イタリアワインきっての高級ワイン産地である事に気付かされます。これほど区画整備された葡萄畑は、バローロ、バルバレスコ以外、イタリアのどの地方に行っても見ることができないそう・・・・。


ピエモンテ州の気候は厳しく、降水量も多く、夏は暑く、冬は寒い乾燥した気候で葡萄の栽培に適しています。
バルバレスコ地区は、バルバレスコ、ネイベ、トレイゾの3つの村と500ヘクタールのネッビオーロの畑からなり
毎年250万本のワインを産出しています。


ピエモンテ州の南に位置するバルバレスコの葡萄畑は、海抜200~400Mの非常に勾配の急な丘で栽培されています。カルシウム成分の石灰岩質の土壌で、土に含まれているカルシウムの集中度合いと、砂の層が混ざり合い、この葡萄畑より上質のバルバレスコが出来上がります。もう少し南西に下った、バローロの土壌は石灰粘土質ですが、バローロに比べ、砂を多く含むバルバレスコの土壌は、葡萄の熟成をバローロより1年早めます。(法定熟成期間規定)
南、南東、南西のいづれかの方向に傾いた畑にしか葡萄を栽培しないそうです。


「TERROIR テロワール」、土壌、立地、気候、畑の管理、・・・その土地のあらゆる現象との密接な結びつきが、
イタリアきっての最高品質ワインを育てるのだとゆうことを、改めて感じました。

眺めのいい部屋

2008年9月から、12月まで、アルバはトリュフの時季で賑わいを見せます。
そんな時季の、バルバレスコ村の分離集落の一つ、トレ・ステッレにある、星付きレストランへ働きに行きました。
私がお世話になった部屋からの眺めは、見渡す限り葡萄畑、1967年、バルバレスコ最高のクリュにも認定された、RABAJA(ラバヤ)畑を眼下に・・・・・・・・。
写真では凝視しないと見えにくいですが、この部屋からバルバレスコの塔も、BRUNO ROCCA、MOCCA GATTA, CASINA LUISIN,CORTESE GIUSEPPE,MARCHESI DI GRASYなど、バルバレスコの有名ワイナリーも一望できます。


収穫間近のバルベーラ種。1799年モンフェッラート公国の時代が起源だといわれており、1800年代の文献には、「繁殖力のある、力強い植物、寒さにも強く、生産性も高い」と記されています。
葡萄の成熟が、ドルチェットより、2週間遅く、ネッビオーロよりも早いので、各ワイナリーは無理なく、このピエモンテの3代品種の、収穫、醸造できるそうです。


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